【医学論文】【整形外科】プライマリーTHAにおける感染のリスク因子に関する研究

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整形外科
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どうも、共働き整形外科医のアラサーキンです。

みなさんいかが、お過ごしでしょうか。

私がどういう者かについては、

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挨拶 初めまして、関西在住のアラサー勤務医"アラサーキン"です。 現在は整形外科の勤務医また1児の父として、 愛する妻とともに日々仕事・育児・家事に追われる充実した毎日を過ごしています。 これから情報...

に書いていますのでよければご覧ください。

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THAと感染

JBJSに掲載された論文の紹介。カナダのオントリオ州(トロントがあるカナダ最大の州)で行われたprimaryTHAでの人工関節周囲感染の発生率と感染のリスク因子の検討に関する論文。THAなどの人工関節手術において感染ほど危惧される合併症はない。感染症対策が進歩している最近においてもやはり感染は最も注意すべき合併症だ。

2018年にLancet infectionから報告された論文(Lancet Infectious Diseases, The, 2018-09-01, Volume 18, Issue 9, Pages 1004-1014)もあったが、この研究では頸部骨折に対するTHAも分析対象に入っていた。そのためprimaryOA に対するTHAの感染の研究としては重要になる。

欧米では早くから、人々の健康情報をデータベースで管理するということをやり始めていたこともりこういった研究も行いやすいのだろう。

Risk Factors for Periprosthetic Joint Infection Following Primary Total Hip Arthroplasty: A 15-Year, Population-Based Cohort Study

J Bone Joint Surg Am

2020 Mar 18;102(6):503-509. doi: 10.2106/JBJS.19.00537.

Abstract

背景:人工関節周囲感染症(PJI)は、人工股関節全置換術後の重大な合併症の1つです。この研究の目的は、15年間にわたって収集されたカナダの人口ベースのデータベースを使用して、変形性関節症のプライマリ人工股関節置換術後のPJIの危険因子を検証した。PJIの発生率、プライマリ人工股関節置換術後のPJIまでの時間、およびPJI率は15年間で変化しました。

方法:オンタリオ州の管理データベースを使用して、人口ベースのコホート研究を実施しました。 55歳以上の患者の変形性関節症に対して行われたすべての主要な人工股関節全置換術を含めました。コックス比例ハザードモデルを使用して、PJI発症のリスクに対する外科的および患者の要因の影響を分析しました。 1、2、5、および10年のPJI率を計算しました。コクラン-アーミテージ検定を使用して、時間の経過に伴うPJI率の傾向の証拠を評価しました。

結果:55歳以上の合計100,674人の患者が、変形性関節症のための主要な人工股関節置換術を受けました。 15年後のPJIの累積発生率は1.44%でした(95%信頼区間[CI]、1.38%~1.50%)。 PJIの発症に関連する危険因子には、男性の性別(ハザード比[HR]、1.43 [95%CI、1.30~1.51])、2型糖尿病(HR、1.51 [95%CI、1.31~1.70])、回復期治療に退院している(HR、1.36 [95%CI、1.05~1.77])。 PJI症例の62%は外科的処置後2年以内に発生し、98%は10年以内に発生しました。一次人工股関節全置換術後のPJIの割合は、我々の研究期間の15年間変化しなかった。

結論:他の関節形成術の転帰の改善にもかかわらず、プライマリ人工股関節全置換術後のPJI発症リスクは15年間変化しませんでした。男性の性別、2型糖尿病、および回復期治療への退院は、PJIのリスク増加と関連していた。手術のアプローチ方法、所得の違い、および骨移植またはセメントの使用は、私たちのコホートにおける感染リスクの増加と有意に関連していませんでした。

男性、糖尿病、回復期病棟への退院は感染のリスク因子

結果を見ると、糖尿病と回復期病棟への退院が、人工関節周囲感染のリスク因子であるというのは理解できる。回復期病棟へ退院する患者さんは内科的合併症が多かったり、元々のADLや全身状態が悪いのだろう。

男性に感染が多いというのは、どうしてだろうか。この論文では患者さんの特性で、喫煙については触れていなかったが男の方が喫煙率は高いことが多いので喫煙は一つ理由であるかもしれない。そういえば、COVID−19に関する報告でも男性は重症化しやすいという情報をみたことがある。

男性は女性よりも潜在的に感染に対して弱いのだろう。何か内分泌的な違いなのだろうか。興味深い。

英語論文とGoogle翻訳

最近のGoogle翻訳の精度には驚かされる。

学生の頃に課題ように英文をgoogle翻訳に突っ込んだときに、なんやチンプンカンプンな文章やなと思ったものだが、今はもうそんなことは無い。Abstractなどならサクッと翻訳してくれる。分かりにくいところだけを自分で読めば良いから、時間がなかなか取れないときには非常に助かる。

ではでは!!今日はこの辺で!!

Adios!!!!

 

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