こんにちは。現役の整形外科医です。
近年のAIの発展やロボットテクノロジーの進化に伴って、医師の仕事が減っていくと心配している医学生・研修医の先生方がいるかもしれません。
今回はAI時代に大切になる医者のスキルについて説明したいと思います。
私も含めて、手術が好きな人が外科系の先生には多いです。
若手の頃は次のように思ってしまうことがあります。
「外来診療って、面白くないな」
「手術ばっかりしてたいな」
私も若手の頃はそうでした。
「早く手術がしたい」
「外来は、ひたすら話を聞いて薬を出すだけ…」
そんな風に感じてしまう時期が私にもありました。
しかし、整形外科医として経験を積み、大学院生として外来業務を中心に行うようになった今、考えが180度変わりました。
外来診療には、AIがどれだけ進化しても奪われない「医療の本質」があると強く思うようになりました。
今回は、これからの時代を生き抜く若手医師に向けて
「患者さんが病院に来る理由」と、そこから見えてくる「医師の生存戦略」についてお話しします。
1. 患者さんは「正解(診断)」だけを求めているわけではない
私たち医師は、医学部や国試対策で膨大な知識を詰め込んできました。
だからこそ、目の前の患者さんに対して、ついこうしてしまいがちです。
- 「あなたの病気は〇〇です(診断)」
- 「ガイドラインではこの薬です(標準治療)」
- 「手術をすれば予後はこうです(データ)」
正しい知識をもとに、正解(情報)を一方的に与える。
これを「仕事」だと思っていませんか?
もちろん、これは間違いではありません。
しかし、患者さんがわざわざ時間を割いて病院に来る理由は、それだけではないのです。
痛みの裏にある「不安」に気づけるか
「膝が痛い」「腰がしびれる」
その身体的な苦痛の背後には、必ず「不安」があります。
「このまま歩けなくなるんじゃないか」「悪い病気なんじゃないか」。
その抱えきれない不安があるからこそ、受診行動をとるのです。
つまり、外来診療のゴールは「病名を告げること」ではなく、
「話を聴き、不安を受け止め、安心してもらうこと」にあります。

2. AIには代替できない「納得と安心」のプロセス
ここで少し未来の話をしましょう。
AIやテクノロジーの進化により、
単なる「診断」や「知識の切り売り」の価値は、今後どんどん下がっていきます。
「症状から病名を当てる」「最適な薬を選ぶ」
これらは、いずれAIの方が正確にできるようになるでしょう。
知識量だけで勝負する医師は、残念ながら淘汰されます。
では、人間にしかできない、AIに奪われないスキルとは何か?
それこそが、「コミュニケーションによって、患者さんの不安を解消する力」です。
- 話を聴いてもらうことで、患者さんの頭の中が整理される。
- 自分の苦しみを理解してもらった上で、専門家から言葉をもらう。
- それによって「納得」し、「安心」して帰ってもらう。
この「人間的なプロセス」を作ることこそが、外来診療の真の価値であり、私たち人間に残された最大の聖域です。
最近流行りのコーチング事業に近いかもしれませんが、
医療における傾聴はそれ以上に強力な「治療のプロセスの一部」になり得ます。
3. それでもやっぱり「知識(教科書)」は最強の武器になる
ここまで「知識よりも心が大事だ」という話をしてきましたが、
誤解しないでいただきたいのは、「知識がなくていい」わけでは決してないということです。
むしろ、逆です。
圧倒的な知識と自信があるからこそ、余裕を持って患者さんの不安に寄り添うことができるのです。
「この症状なら、この病態の可能性が高い」「この治療ならここまで良くなる」という正確な医学的背景(バックボーン)がなければ、患者さんを本当に安心させる説得力のある説明はできません。
不勉強な医師がいくら優しく接しても、それはただの「気休め」であり、医療ではありません。
若手医師こそ、たくさん勉強し良い教科書を読め!
AIに負けない「人間力」を発揮するためには、
その土台となる「確かな専門知識」が不可欠です。
特に整形外科は範囲が広く、運動器の解剖からバイオメカニクス、手術手技まで学ぶべきことが山ほどあります。
ネットで断片的な情報を拾うのではなく、体系的にまとめられた「良書(教科書)」を読み込み、知識の足腰を鍛えておくこと。
これが、将来的に「名医」と呼ばれるための最短ルートです。
「じゃあ、具体的に何から読めばいいの?」
「たくさんありすぎて選べない!」
そう思った研修医・専攻医の皆さんのために、私が実際に読んで「これは絶対に役に立つ!」と確信したおすすめの整形外科教科書を厳選してまとめました。
これからのキャリアを作るための「最強の武器」を、ぜひ以下の記事でチェックしてください。
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まとめ:知識と人間力の両輪を回そう
外来診療は「楽しくない」ではありません。
AIにはできない「人の不安を解消する」という、高度で人間的な仕事です。
そのスキルを最大限に発揮するために、今日もコツコツと教科書を開き、知識と人間力の両方を磨いていきましょう。


